とんでもない死に方の科学~もし○○したらあなたはこう死ぬ~

この本のタイトル。読む前からワクワクしてこないだろうか。

身近な現象を科学で解明するような本はよく見るが、その身近な現象が「死に方」なのは珍しい。

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たしかに私たち人間はみんな死んでいくものであるから、これほど身近な話題はない。

でも、「死に方の科学」とはなんだろうか。

 

タイトルに科学とあるから、お堅い話の本だと思うかもしれないが、それはちょっと違う。この本には45通りの死に方が書いてあり、真面目な科学に基づいて明日にでも起きそうな死に方や、「そんなのありえない!」と思わずツッコミを入れたくなるような死に方を真面目な科学に基づいて、おもしろおかしく解説してくれている。

だから、将来とんでもない死に方を考えている人がいるのであれば、ぜひオススメしたい。

 

とはいえ、さっきも言ったようにこの本は、真面目な科学に基づいているので科学分野が好きな人にも安心して読んでもらえる本である。軍による研究、医学雑誌、天体物理学の仮説を参考にしたりバナナの皮の滑りやすさを調べた教授の研究に当たったりしたそうだ。

冒頭にはこうある。

Tシャツ・短パン姿で宇宙空間に飛びだしたら何がどうなるかも詳しく話してあげよう。(中略)胃袋が拒絶反応を起こさない程度に、真面目な科学とグロテスクな描写を織りまぜるつもりだ。要するに、スティーブン・キングスティーブン・ホーキングを足して二で割ったような本だと思えばいい。

 前者は有名ホラー作家、後者はご存知天才理論物理学者だ。まさに「死」と「科学」の組み合わせだ。

 

 この本は、一つひとつが独立したものになっているので最初から順番に読むよりも目次を見て読みたいと思ったところから読むことをおススメする。目次を読むだけでクスッと笑ってしまうほどにぶっ飛んだタイトルばかりだ。

私が好きなのは

読書中にいきなりこの本がブラックホールになったら

だ。

、、、そんなことあるわけなかろう。が、どうやら100%不可能なことではないみたいだ。

もちろんこの本がブラックホールになったら巨大な衝撃波が何キロにもわたり、私たちや周りの建物は破壊されるのだが、本の情報はなくならないらしい。

ホーキングらによる最新の仮説によれば、ブラックホール内部の情報は完全に消滅するわけじゃない。ただ私たちには読み方のわからない言語に変換されるだけだという。

 

著者のひとりコーディー・キャシディーはスポーツライターで、もうひとりのポール・ドハティーは物理学者だ。「死」の臨場感はスポーツライターならではのテンポで表現されているし、ドハティーアメリカの体験型科学博物館「エクスプロラトリアム」の上級研究員だっただけあって、科学をわかりやすく面白く表現されている。

 

この本はコマ切れで読めるので、リビングに置いてふとした時に読むのがいいのではないか。1時間ドラマのCMの時間で一つのタイトルを読み終えてしまうだろう。

 ただし、本に夢中になりすぎてドラマの内容を忘れてしまうなんてことがあるので注意して読んでいただきたい。

 

 

とんでもない死に方の科学: もし○○したら、あなたはこう死ぬ

とんでもない死に方の科学: もし○○したら、あなたはこう死ぬ